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【映画】スーパーティーチャー熱血格闘:香港版、金八+GTO+ごくせん

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香港らしいアクション+ヒューマンドラマ

このご時勢にレイトショー!

社会というのはつくづく場当たり的、というか、移ろいやすいものだな、と思う今日このごろである。ついこないだまで『スーパーフライデー』とかいって私たちに「遊びにでかけろ!」「金を使え!」と推奨していたのに…。

今は「不用意な外出は控えよ」というお達しが出ているので、自宅でおとなしくひっそりと暮らすことが推奨されているのだが、自分の生活をどの程度[自粛]しなければならないのだろう。その判断基準は提示されていない。結局、自己判断に任されている。

[不用意]というのは、用意や準備をしていないこと、配慮がなされないこと、という意味だろう。その不用意がどの範囲までをいうのか。分からないし、かといって、状況が好転する気配がないので、自己判断で自らの配慮の範囲を決めなくてはならない。

ということで、今回の自己判断はレイトショーに行っちゃう!である。

というのも、昨年11月に公開された『スーパーティーチャー熱血格闘』の追加上映が新宿シネマートであるということを知ったから。

 

www.vap.co.jp

新宿へ映画はしょっちゅう行くのだがシネマート新宿は初めてだ。調べてみたら2006年にオープンしたとのこと。そんなに古くはないんだけど、売店も含めてどことなく懐かしさを感じる雰囲気があった。上演前の会場の照明がなぜか客席にスポットライトのように照らされるから上映前の客席がよーく見渡せる。こんなご時世で客席は、半径5メートル、いやもっと間隔を置いて座れるほどだ。トイレには消毒剤もちゃんと設置してあったし、配慮は万全。もちろん、上映前&後にちゃーんと手を洗いましたよ。

 

宇宙最強?!の熱血教師!

『スーパーティーチャー熱血格闘』は、香港のアクションスター、”宇宙最強“といわれるドニー・イェンが教師として登場する我々が好きな学園モノ。香港で成績最下位のタックチー学園に、推薦書を片手に教師になりたいと校長のもとを訪れたチャン・ハップ(トニー・イェン)。彼が担任したクラスは、最も成績が悪く荒れたクラスの6年B組(香港の6年は高3)。生徒たちは教室内で好き勝手に過ごし、授業なんてまったく行える雰囲気ではない。校内で喫煙したり、ギターを弾いたり、ゲームをしたりの問題児ばかり。とんでもないクラスである。

この荒れ野のようなクラスに赴任したチャン先生。彼は、生徒たちを頭ごなしに叱りつけることはしない。

生徒から一本のタバコを取り上げ、「このタバコはどのような構造になっているか?」「成分はなにか?」「吸うと身体にどんな影響があるのか?」などという質問を投げかける。彼の教育の姿勢は「ダメ!」ではなく「なぜ?」から始まるのだ。

アクションスターの作品だから、あちこちで格闘するので現実味はないのだが、チャン先生の生徒たちに対する姿勢から、あの金八っあんのような人間味と「けして見捨ててはならない未来を担うかけがえのない命」に対する信念が見える。

・・・それには深いわけがある…。

 

どんな生徒も見捨てない大師兄!

香港版タイトルは『大師兄』(BIG BROTHER)である。終始熱血漢にあふれたチャン先生は、実は香港出身でタックチー学園の生徒だった。ところが、わけあって(ネタバレしないようにここでは書かない)途中で退学し渡米、米軍海兵隊に所属し、心身ともに鍛え上げ、知識も体力も人並外れた能力の持ち主になったのだが、なぜ「教育」の現場に戻ったのか?

多分、ここに彼が体験した戦地(たぶんあれは中東戦争)で見た地獄が大きく影響しているように思う。

 

自らの生い立ちと経験が大きく影響して、彼は「未来を担う子供たちを育むことが、自分の生きる意味」なんだと思ったのだろう。

 

問題児たちのそれぞれの家庭問題、学校経営の偏差値教育…なにも、これは香港に限ったことではないよなぁと。日本の格差社会も深刻だし、教育改革もどうなることやら…だし、ため息の要素ばかりが目につく。

ハチャメチャなことばかりのチャン先生が、結局、生徒たちの心を掴んで、モチベーションを上げるのは皮肉なものだ。子どもたちにこの映画のようなショック療法が必要なのだとしたら、クレームを恐れて「しない」「やらない」方向ばかりで守りに入る教育現場の中に光明を見出すのは難しい。

 

香港映画が得意とするアクション満載で見飽きることなく、テンポよく派手な演出だけれど、舞台が学校なだけに登場人物一人ひとりの魅力もたっぷり味わえる。シネマートの上映期間は残りわずかだけれど、再上映もちらほらあるみたいだからぜひ、どこかの機会で観てもらえたら、と思う。

 

★みじん子レーダー【映画】影裏
●ドラマティック度:★★★☆☆
●鑑賞後の心地良さ:★★★★☆
●ドラマの重量感:★★☆☆☆
●涙活度:★☆☆☆☆
★世の中の教師たちに「頑張ってよー!」と応援したくなる102分