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【映画】ブレイクスルーとは進歩、前進。殻を破る(brake)ことから始まる - チア男子!-

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世の中の当たり前の殻を破る…それがパイオニア

 劇場で観る機会を逸してしまった。というのも、思いのほかあっという間に公開が終わってしまったからだ。キャストを見れば分かると思うのだがこの映画は中高生などの学生さんたちをメインターゲットにしていると思うのだが、劇場公開が中間テスト期間にモロ被りしていた。…あと2週だけ後ろにずらしたらもっと初週の動員数が上がったと思うんだけど。

  私はTSUTAYA5本で¥1,100-を借りるときはいつも居酒屋メニューをイメージしてチョイスする。新作話題作がお刺身としたら、旧作洋画が揚げ物、旧作邦画がサラダ、青春ドラマがジャンキースナック系、サスペンスはピリ辛系・・・、ラブストーリーはデザート系。みたいな感じ(笑)で、ご飯は健康に気遣って選ぶように、映画は心身の健康を気遣ってバランスよく5品を選ぶようにしている。で、今回5品チョイスのチーズ巻き揚げがこの『チア男子』である。

 

 原作は朝井リョウさん。原作→コミック化→アニメ化→WEBラジオや舞台を経て映画化となったらしい。ターゲットが若者の作品だからなのかメディア展開の幅が広い。で、私は原作を読んでいたので映画を楽しみにしていたのだが間に合わず上映期間を逃してしまったので今回DVDで観ることに。『桐島~』とか『何者~」を観ていてちょっとひねった感じが多いと思っていた朝井氏の作品にしては原作の『チア男子!』はさわやかな青春ドラマで心地良かった。母校の早稲田大学の男子チアリーディングチーム「SHOCKERS」から着想しているとのこと。母校愛も加わっているのだろう。

 映画は人気急上昇中のイケメンズが出ているPVを観るような気持ちだ。ワクワクしながらDVDプレーヤーのスタートボタンを押す。

 

 柔道一家に生まれ、柔道一筋だった晴希(横浜流星)は、自分の中には柔道の才能を見いだせず悶々としていた。そこへ幼馴染の一馬(中尾暢樹)が晴希をチアに誘う。今は亡き一馬の母親は学生時代にチアリーダーだったのだ。創部と同時に部員集めに苦労しながらも、個性豊かなメンバーが集まってくるが今の若者が言うところの陰キャ(あまりイケていない地味なタイプ。対義語は陽キャ)たち。彼らは学園祭で舞台に立つという目標を掲げ、必死に練習を重ねていく中でチア経験者の必要性を感じ、イケメンで経験者の徳川翔(瀬戸利樹)を誘うが、けっしてスタンツ(チアの中で最も見ごたえのあるアクロバティックなパフォーマンス)には加わらないという。そんなデコボコメンバーたちが、チアを通じて思い知ったのは、『BRAKERS』というチームの名の通り(殻を破ること)であった。

 

 横浜流星くんは細マッチョで美しい肉体をしているが今の若手俳優の中では小柄なほうなので、チアで上に飛ばされるトップに向いている。空手で身についているしなやかさもあり晴希役にピッタリだ。キャストの皆さんが猛特訓して挑んだとのこと、つまり、キャストたちが『チア男子!』を演じる青春群像劇でもある。

 若者が大きな目標や夢に向かって突き進む姿は実に美しい。脇目も振らずひたむきに突っ走ることができるのは若さゆえの特技であり、限りがあるからこそ愛おしいのである。なんてったって学生時代は、青春パラダイスなのである。でも、そんな歳からほど遠くなってでないと、あの時期がかけがえのないものだったということに気づけない。人間は愚かなもので、時間が「まだまだある~」と思っているときに、時間の大切さに気づけないのである。残り時間が見えてきてようやく、「あぁ、あの時もっと大事に時間を使っていたらなぁ…」悔いるのだ。で、チア男子!のような青春ドラマを観ると、「あぁ、いいなぁ」と羨望するのである。

 

 年寄臭い話になってしまうが、本当にそう思う。若いうちにできることをいっぱいいっぱい挑戦して欲しい。人生のやり直しは何度でもきくけれど、戻せないのは時計の針。過ぎてしまった時間は取り戻せないのだから。

 

 ということで、スタンダードな青春ドラマを観て心身ともにリフレッシュ。もうだいぶ時間が過ぎてしまった私には取り戻せない時間ばかりが増えている寂しさを感じつつ、まだ少しは前へ進む時間があると思いたい(笑)。

 

★みじん子レーダー【映画】チア男子!

●ドラマティック度:★★★☆☆

●鑑賞後の心地良さ:★★★★☆

●ドラマの重量感:★★☆☆☆

★イケメン+青春群像劇=キラッキラに輝くトキメキタイムの118分