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【映画】いっそ生まれ変われたらいいのに・・・ ‐記憶にございません‐

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忘れてしまいたいことや~♪どうしようもないことを~♪

 『記憶にございません』は久しぶりの三谷幸喜作品。2017年夏にTOMOさんと観劇した『子供の事情』以来だ。

 珍しく家族三人で観にいった。・・・娘の思春期到来とともに父親との間で勃発した冷戦は現在もなお膠着状態が続いている。そのような中で秋の連休に「どっか行きたいー!」と父親が駄々をこねたタイミングで、ちょうど娘が「観に行きたい!」と言い出した映画が父親が好きな三谷作品だったのだ。国連事務総長の私としては平和維持活動のために「こりゃ、みんなで観に行こっ!」と対立する両国を説得するしかない。結果、無事、映画館へと向かうことができたのだ。

  中井貴一さんが演じた黒田総理大臣は史上最悪のダメ総理と言われ、自分の利益のために生きているようなどうしようもないクソ野郎だったのだが、投石が頭に当たったことで記憶を失うことになった上になぜか人間性までもここでシフトしてしまった。・・・そこから始まるドタバタ劇。

 記憶だけ失ったのであれば、クソ野郎はクソ野郎のままなのだろうけど、なぜか誠実な善人に生まれ変わる。。。ここがこの物語の肝である。

 性善説というか、だれもが本来、そんな悪人はいないのかもしれない。利害関係やしがらみや騙し合いの人間関係に揉まれると、知らぬうちにクソ野郎になってしまう恐れは誰にでもあるのだ。・・・家族からも疎まれ、周囲からも煙たがられて、でも、もう引っ込みはつかない。

 だから、記憶をなくす事件に遭わなくちゃ生まれ変わることは難しい。

 

 ・・・ちなみに、政界の黒幕である草刈正雄さんが演じた鶴丸官房長官が、なぜか麻生太郎氏にリンクしたのは私だけだろうか?・・・ま、政治ネタはここではやめておこう。

 三谷幸喜作品は個性的な登場人物と、会話のやりとりがシュールで面白い。よくありがちな日常的な景色ではあるのだけれど、そこに見える人間の表裏がなぜか笑いに変わる。本来、人間の表裏はあまり面白いものではないのだけれど、そこを笑いに変えるのが三谷マジックである。三谷作品を観ると、生きていればいやな人間関係や深刻な出来事にも遭って悶々と悩むこともあるだろうが、物理でいうところの作用・反作用のようにベクトルをくるりと180度に変えさえすれば簡単に、同程度の笑いに変えられるのではないかと思えるのだ。その変え方は案外簡単なのかもしれない。

 ひとつだけ笑えないのは、この映画のシュールさが、なぜだか現政権の民意を無視した強引な政策施行と重なり「あーあ、政治家っていう生き物はなぁ…」と嘆きたくなったことだ。映画のほうは着地点に希望が見えるんだけれどねぇ。

 ぜひ、三谷ワールドを観て悲劇を喜劇に変える秘密を解いてみて欲しい。

 

 生きていれば「いっそ生まれ変わりたい!」と思うようなことがあるものだ。それまでの愚行を悔い改め、いろんな負の記憶をチャラにしたいと思うものだ。本来お気楽な私は都合の悪い出来事は本気で記憶のデータベースからすぐに削除したつもりになるけれど、何かのタイミングでふとフラッシュバックのように思い出すこともあるから、人間の脳とは厄介なものである。

 だから、いっそのことマジで「記憶を失ってしまえば」、なにかとスムーズに人生のリセットができるのかもしれない、、とこの映画を観て思った。でも、都合よく頭に投石が当たるなんてことは起きないし、脳へのダメージに挑むには命がけな行為なので無謀な挑戦だ。

 劇中の黒田総理大臣は、記憶を失ったことでこれまでの悪行を改めたかったのはもちろんだが、一番は「家族との和解」のように思う。妻に見放され、息子に軽蔑され、、、家族の信頼を取り戻すには(生まれ変わる)しかなかったのだ。

 

 さて、話は我が家の件に戻すが、国連事務総長としては裏の手を使って父親の頭めがけて石を投げ、ちょいと記憶を失ってもらい、冷戦前の状況に(生まれ変わる)ようにでもしたらよいのか?なんてことを、この映画を観て思ったが、そのためにはベースとして「本人の自覚」なくしては関係改善へつなぐことが難しいので、やはりこれまでどおり冷戦状態を見守るしかない。

 

★みじん子レーダー【映画】記憶にございません

●ドラマティック度:★★★☆☆

●鑑賞後の心地良さ:★★★★☆

●ドラマの重量感:★★★☆☆

★さすが三谷作品!といえるテンポと歯切れのいい展開で飽きることのない127分