エンタメ愛が止まらない!! リターンズ

愛するエンタメを語りつくせ!!

【映画】深呼吸の必要:我々にいま必要なのは「深呼吸」かも!?

f:id:entame-lover:20200727204227j:plain

ザワワ…ザワワ…ザワワ~~~ッ。サトウキビ畑はやさしい風を届けてくれる

前向き♪前向き~~~っ♪…なんだけどさ…

「何があっても前を向くしかない!」

そう自分を励ましてようやく更新再開するとしよう。

頭では受け入れているつもりでも心が受け入れるまでには時間がかかりそうだ。

…でも、エンタメの灯はけっして消してはならない!

 

…ということで、このブランクの間に観た映画『MOTHER マザー』の紹介は後日。

今回は「前を向いて生きていこう!」という気持ちにさせてくれる作品を紹介したい。 

今回登場する職業は援農者、キビ刈り体験

映画『深呼吸の必要』は2004年5月に公開された作品。

沖縄のおじいとおばあのサトウキビ畑の収穫作業の短期アルバイトに参加した若者たちの青春物語。

春。舞台は沖縄の広大なサトウキビ畑。刈り取ったサトウキビを期日までに納めなくてはならないのだが、おじいとおばあ二人では無理なため、約1か月間の収穫作業を手伝う「キビ刈隊」が全国から集められる。おじいとおばあのルールは「何も聞かない」「言いたくないことは言わなくていい」。募集記事を目にして各地から集まった若者たちがそれぞれ抱える葛藤や苦悩が、サトウキビの刈り取りのように刈り取られていく…その様子が淡々と描かれている。

 

キビ隊に参加した若者は、立花ひなみ(香里奈)、池永修一(谷原章介)、西村大輔(成宮寛貴)、土居加奈子(長澤まさみ)、川野悦子(金子さやか)、キビ隊を束ねるのは全国各地の農作業を手伝いなら放浪しているベテラン援農者の田所豊(大森南朋)、10年前に沖縄を離れ東京で看護師として働いていたのだがある日フラリと現れる辻元美鈴(久遠さやか)、と、なかなか豪華なキャストである。おじい(北村三郎)とおばあ(吉田妙子)は沖縄出身の俳優さんなだけに、沖縄の言葉がネイティブだ。

 

キビ隊に参加した若者たちそれぞれにここに来る理由があったようだが、その詳細は詳しくは語られない。劇中で経歴を聞くことができるのは、小児外科医の池永と甲子園で大活躍した元球児の西村だけだ。けれども、それぞれに何らかの事情があってここにやって来ているということは各シーンで容易に伝わってくる。

 

沖縄へ行くとあっちにもこっちにもサトウキビ畑が広がっている。サトウキビを知らない者が見たらそこは葦の藪みたいな感じで雑然としている。この刈り取りが手作業でされているとするとそりゃ相当な重労働だ。

けれど、おじいとおばあとの暮らしは若者たちを惹きつける。みんなが食卓を囲む部屋の隅に、歴代のキビ刈隊の写真が飾られている。まるで若者たちの実家のようだ。

 

ちなみに今回知った援農という仕事。田所豊(大森南朋)は北海道のじゃがいもの収穫から沖縄のサトウキビの収穫まで四季折々、全国各地の収穫の手伝いで生計を立てている。こういう人、実際にいるのかなぁ。もし、私は若かったら2~3年やってみたい。世の中には面白い仕事があるものです。

 

深呼吸の必要…アリ。

若者たちはみなこれまでの日常から逃げるようにやってくる。人間関係だったり、仕事のストレスだったり、自分自身の問題だったり…。生きていく限り逃れることのできない葛藤や苦悩…。そんな日常から大きく足を延ばして、これまで全くしたことのない農作業をする…。「なんくるないさ」が口癖のおおらかなおじい。いつも美味しいご飯を作って若者たちを我が子のようにかわいがってくれるおばあ。とにかくあたたかい。

ここに来る若者たちは、日常から離れ「ホッ」としたい…のかもしれない。

 

物語の大半が、サトウキビ畑のキビ刈りシーンなのだが全く飽きることはない。逆に、いっしょにキビ刈りに参加しているような錯覚を覚えながら、サトウキビ畑の風を感じながら、若者たちの心の動きに触れていく…。こんなことができるのは、沖縄独特の時の流れがあるからだろうか?ぜひ映画を観て感じてください。

 

私たちは疲弊している

これまでとは違う日常、気持ちを萎えさせるニュース、自由に発散できる機会も場所も奪われ辛抱を強いられている。みんな同じだから…と慰めようとしても、一人ひとりが受けているストレスはこれまでの人生の延長線にあるわけで、ともに慰め合えるような単純なものではない。

でも、そんなときでもどこかに逃げ場があると思えたら、最悪な状況を免れるのではなかろうか?

都会の喧騒から離れて大自然の中に身を置き、額に汗してひたすら作業する…そんな農作業に、都会暮らしにつかれた人たちを癒す力がある。が、いま、東京都民はGo Toできない。皮肉なものだ。

Go Toできない。だから、映画やドラマ、エンタメの中の逃げ場にそそくさと足を運ぶ。刹那でも日常のあれこれを忘れて、ワクワクドキドキを楽しも~っと!

 

★みじん子レーダー【映画】深呼吸の必要
●ドラマティック度:★★☆☆☆
●鑑賞後の心地良さ:★★★★☆
●ドラマの重量感:★★☆☆☆
深呼吸の必要に気づく優しくてあたたかい123分