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【映画】百人一首は坊主めくりのためだけにあるのではない - ちはやふる 上の句・下の句・結び -

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一意専心、ひたむきな時間、、、それが青春。

 今さらなのだが『ちはやふる』をフルセット(上の句・下の句・結び)で観た。上の句と下の句が2016年、結びが2018年の作品だ。

 スポ根モノの青春感動ストーリーは数多くあるが、いわゆる文化系の部活の闘魂物語はなかなか珍しい。『ちはやふる』は競技かるたの世界を描いた青春物語。主人公は広瀬すずちゃん演じる綾瀬千早。映画は千早と、千早の幼馴染でかるた仲間の綿谷新(新田真剣佑)、真島太一(野村周平)らが競技かるたに青春をかける姿を描きつつ、ちょっぴり恋テイストが折りまぜられた、爽やかで気持ちの良い青春物語である。上の句編は、千早が進学した瑞沢高校で競技かるた部をつくるとろこから始まる。 

  この映画を観て初めて競技かるたのルールを知った。新年になると、よく地方ニュースなどで競技かるた大会の様子が映し出されるが、詳しいことは全く知らなかった。百人一首という極めて雅(みやび)で文化的なコンテンツを用いながらも、自陣と敵陣に札を配置して、読み上げられた上の句からなる早で下の句の札を取るという想像以上に激しい戦いが展開されるのが競技かるた。かなりスポ根要素の強い世界である。

 

 札が読まれるたびに、古典オタクの大江奏(上白石萌音)が、歌の解釈を瑞々しく解説してくれるので、登場人物たちの青春が青だけでなく七色に輝くのがとてもいい。

 恋愛要素もちゃんと盛り込まれていて、新も太一も千早に恋している。が、その三角関係は、千早がかるたひと筋ゆえに常に鋭角で均衡をキープ。そんな彼らには「しのぶれど 色に出にけり 我が恋は~」の歌が合う。笑

 

 詳しいストーリーは3部作をじっくり観て欲しい。が、この『ちはやふる』が真剣佑くんがブレイクした作品であるということに注目したい。

・・・というのも、本来、真剣佑くんはキリリとした目ヂカラのあり、鍛え抜かれた肉体は父親の千葉真一氏を彷彿とする力強い男らしさを感じる俳優さんだと思うのだ。ところが、綿谷新のキャラクターはその逆をいっていて、その新で彼が注目を浴びたのが、俳優業のスタートとしてとても有利になったと思うのだ。可愛げがある穏やかな福井弁、性格は穏やかで控え目、でも芯の強さを持つ綿谷新。彼が、のちに真剣佑から新田真剣佑に改名したことも、『ちはやふる』の新のキャラクターを意識したらしいが、これは彼の今後の芸歴にとてもプラスに働いていると思う。

 

 新人俳優さんがブレイクするとき、そのきっかけとなった役柄がその後の俳優としての仕事に大きく影響する。ファンは、ファンになった瞬間、つまり恋に落ちた瞬間が大きく影響していて、その後、どんな役柄を演じても、好きになった(あの役の彼or彼女)をどこかで引きずるからだ。

 これって、リアルの恋愛にも似てるでしょ。「好きだなぁ」と思った瞬間を常に相手に期待してしまうし、引きずられるってこと。役者さんの場合、悪役にもなるし、ゲス野郎にもなるんだけど、ファンになった瞬間の役柄をファンはちゃんと頭の中でキープできているので、「あぁ、こんな悪人も演じれるのね」と思いながら応援できちゃうわけである。けして嫌いになんてならない。

 その論理だと、現在、大ブレイク中の横浜流星くんも、アタリ役が『はじ恋』の、不器用ながらまっすぐで努力家、だかピンク頭の元ヤンという由利匡平がすごく良かったわけだ。

 

 話を戻すと、真剣佑くんがブレイクしたきっかけが『ちはやふる』ではなくて、もっとアクション要素の高いマッチョで強い役柄で出演した作品だとしたら、真剣佑くん本来持っているイメージと大きく変わらないので、ファンはそういう彼を期待するだろう。が、綿谷新を演じてくれたおかげで、真剣佑くんが鍛え抜かれたボディを披露しても、「ホントは控えめなヤサ男なのよね♪」なんていうギャップ萌えも味わえるわけだ。俳優としてのスタート時点で、芸の幅を広げられている、これは大いに得をしている、と思うのだ。

 

 ということで、我が家の正月は毎年、百人一首の箱を開けるのだが、競技はもっぱら「坊主めくり」。だが、2020年は(競技の年=オリンピック開催)なので、かるた大会をやろうかと思う。

 高校時代に覚えさせられた(ちなみに追試2回だった)、百人一首を、その意味もじっくり味わいながら覚えていけば、もっともっと楽しくなるはずだ。

 

★みじん子レーダー【映画】ちはやふる 上の句・下の句・結び

●ドラマティック度:★★★☆☆

●鑑賞後の心地良さ:★★★★★

●ドラマの重量感:★★★☆☆

●涙活度:★☆☆☆☆

★何かに夢中になれるときってそんなにあるものじゃあない、だから、青春は輝くのだということを思う映画3部作。