【小説】動物好きには堪らないハズ!『獣の奏者』
昨年の夏頃公開予定のはずだったアニメ映画『鹿の王』が、コロナ禍による公開延期を経て、2月4日にようやく公開されることになったそうだ。世の中はまたしても感染拡大中だけど、今度こそ無事に公開できるといいね!
原作は上橋菜穂子さん。
私は『精霊の守り人』を読んで上橋さんの作品の大ファンになり、その後、『獣の奏者』と出会って、その物語の世界にどハマりした!
小説を読んだ後で既にアニメやコミックになっていたことを知ったのだけれど、そちらは見ていない。私が頭の中で描いていた世界観とアニメはかなり違っている気がして今後もみる予定はないのだけれど、私の頭の中のイメージをイラストにする力量がなかったので、添付のイラストはコミック版のイラストをお手本にさせていただきました。
小説『獣の奏者』は
1.闘蛇編 2.王獣編 3.探求編 4.完結編 5.外伝 刹那
の全5巻。
「リョザ神王国」という異世界が舞台。ファンタジー世界なので説明が難しいのだけれど、国と王を守護するため(いわゆる軍事利用)に飼われている<闘蛇>、決して人に馴れず、また、馴らしてはいけないとされる聖なる獣<王獣>がいる世界だ。
<闘蛇>を飼育する「闘蛇衆」の中で育ったエリンは、闘蛇の中でも特に強力な<牙>の死の責任を取らされ処刑される母・ソヨン(獣ノ医術師)の不思議な力によって難を逃れ、一人、<闘蛇>の背に乗せられて、知らない土地へ流れ着く。
エリンの波瀾万丈な人生の始まりである。
蜂飼いのジョウンに助けられ、彼の仕事を手伝いながら暮らすようになるのだが、ある日、山奥で野生の<王獣>と出会い、その姿に魅せられてしまう。
やがて母と同じ獣ノ医術師になろうと決意し、王獣保護場の学舎に入学。
傷ついた王獣の仔・リランを救いたい一心で献身的に治療にあたるうちに、リランと心が通じ合って行くエリン。「王獣は決して人に馴れず、また、馴らしてはいけない」のは何故なのか?
エリンを待ち受ける運命は如何に!?
・・・・・
アニメ版もコミック版も知らずに読んでいた私。
闘蛇も王獣も文字の描写だけで想像すると、とても恐ろしい生き物だ。
犬や猫のように人間に親しみを持ってくれるような雰囲気はまるでなく、いつ殺されてしまうか分からない恐怖の中で飼育したり保護したり???
う〜〜。ドキドキドキドキ。。。この世界、怖いよぉ〜〜〜。
っと思いながら読み進めていたのだが。。。
いつの間にか、エリンと王獣・リアンの絆に心打たれ、その関係が愛おしくて堪らなくなる。
さまざまな困難や命懸けの争いに巻き込まれ、辛い決断をしなければならない時もやってくるのだけれど、人と獣の間にも深い愛情と思いやりが育まれるのだと信じられ、、、、
・・・・・・
物語の世界に没入し、エリンに激しく感情移入してしまい涙腺崩壊!!
涙なしでは読み進められない、が、
涙で文字が見えないよぉ・・・(涙!
人と獣(動物)との温かな愛情あふれる物語というわけではなく、人間の愚かさや業の深さ、恐ろしさなど、それぞれの醜悪な部分もしっかり描かれていて、決して「あ〜面白かった!」で終われる物語ではない。
だけど。
やっぱり、この物語は美しい!
と思わずにはいられない。
映画『鹿の王』公開決定の報に触れ、小説『鹿の王』も面白かったので映画版も見てみたいなぁっと思ったのだけれど。
その前に、まずは大好きな『獣の奏者』をもう一度読み直そうかなぁ!