【映画】スパイの妻:美しく&上品に描かれた暗い時代を味わう
確かにテレビドラマだけでは勿体ない作品
劇場でエンドロール終了後
「これって…実話?」
と思ってしまった。
今年の6月にNHKのBSで高性能8Kで放送された作品なんだって。(アウトプットが8Kでもウチのテレビは普通のテレビだからその映像美には触れられないけど。悲)
この作品を『劇場版』として115分の映画に再編集されたものが今回、私が観た『スパイの妻』だ。
終始ハラハラ&ドキドキ
舞台は太平洋戦争を目前にした混乱の時代。神戸で貿易商を営む福原優作(高橋一生)は、美しい妻、聡子(蒼井優)と、立派な洋館で洒落オッティな暮らしをしていた。
世界情勢の雲行きはどんどん怪しくなる中、優作は甥の竹下文雄(坂東龍太)を伴い、新たな商材を求め満州へ出かける…。
どんどん戦争に向かっていきそうな不安定な世の中で、聡子は首を長くして夫の帰国を待つ。予定より少し遅れたが無事に優作たちは戻ってくる。が、帰国以降、夫や文雄の不穏な動きや怪しげな表情になんだかおかしい…
どんどん夫との距離感を感じ、不安になる聡子だったが、ついに彼らの秘密に触れ…。
…結局、優作と聡子はとんでもないことに挑む…。
それは歴史を揺るがす大事件になるようなことだった。
ネタバレになるので、ここであらすじはおしまい。
所作が美しくウットリ!
舞台は神戸なんだけれど、関西のなまりはほとんどなくて、優作も聡子もとにかく綺麗な言葉づかいと所作で、観る者を異世界へいざなう。
紳士的ながら妖艶な雰囲気が似合う高橋一生さん演じる優作は、戦争間近の日本ではかなり浮くであろう(いい意味で)洋風かぶれの凄腕のビジネスマン。聡子は、そんな夫を尊敬し、深く愛し、信頼する貞淑な妻。
彼らの品格は、生活や所作だけでなく、世の中を見る目、物事の考え方にも通じていたのだ。命がけで挑む正義への挑戦。何度も観る者の予想を裏切るサスペンスっぽさもあり見応え十分です。
聡子の幼馴染で戸憲兵分隊本部の分隊長の津森泰治(東出昌大)は、軍国主義により、海外貿易を営む福原夫妻を非国民扱いをするようになる。かつては信頼で結ばれた人たちを引き離す戦争の世の中のむごさとか、非情さとか、異常さは残酷だ。
東出くんってこういう役は似合うと思う。
平和を愛そう!
実は、私は戦争時代を描いたドラマはあまり得意ではない。なんてったって、朝ドラ『エール』は、戦争のところはまるっと飛ばした(録画は残してるんだけど)。
もうすこし若い頃は気にせずに観れたんだけど、年々「戦争」ネタが心に厳しくなっているのだ。
過去に実際にあった出来事なんだけどね…。戦国時代は観れるし、戦国時代のドラマは好きなんだけど、どうも太平洋戦争のネタにアレルギーが出てる。
それはなぜなのかわからない。
世の中や社会は変わるし、変わりながら過去が遠のいていくのは当然で、だからこそ「二度とあってはならない」戦争を、史実として戦争を知らない者に伝えることは大事なんだけれどね…。
平和ボケも怖い。でも、自分の残りの人生はそんなに長くないから、どうせなら「平和ボケ」をしたまま世を去りたいなぁ。
今シーズン(10月期)のドラマは、特に自分のそんな嗜好が解る。
イチオシ!は、「ルパンの娘2」サイコー!
『スパイの妻』と『ルパンの娘』ってタイトルだけだとすっごく似てるんだけど、ぜーんぜん違う。
ハラハラ&ドキドキしながら、ぜひ両方楽しんでみて欲しいな~
★みじん子レーダー【映画】スパイの妻
●ドラマティック度:★★★★☆
●鑑賞後の心地良さ:★★★☆☆
●ドラマの重量感:★★★★☆
★高橋一生さん&蒼井優さんコンビにウットリ&ハラハラドキドキの115分