【ドラマ】どんなに考えても答えは出ないけど…『モリのアサガオ』
刑事ドラマでは毎日のように殺人事件が起きるけど、普通に暮らしていれば犯罪とは無縁であることが多いだろう。現実に殺人事件のニュースを見ても大抵は遠いどこかの出来事だ。
幸いなことに、今のところ、私や私の周りの人々の人生には悲惨な事件や事故などは起こっていない。だから、被害者や被害者家族の気持ちも、加害者や加害者家族の気持ちも、想像することはできても実感することなどできない。
『モリのアサガオ（2010年10月〜）』は漫画原作（郷田マモラ）のドラマだ。
どれくらい取材してどこまでをリアルに描いて作品にしたのかは分からないけれど、あくまでもフィクションなんだけど。
それでも、、、
犯罪ってなんだろう？罰ってなんだろう？死刑ってなんだろう？ホントの加害者って誰だろう？被害者が救われる方法ってなんだろう？・・・・
たくさんの「なんだろう？」が湧き出すけど答えは見つからない、とっても複雑な思いに囚われてしまうヒューマンドラマ…。
新人刑務官・及川（伊藤淳史）は死刑囚舎房の処遇部に配属される。
懲役囚と違って死刑囚は「死刑執行」を待つだけの身なので、房の中では割と自由に過ごせるらしい。ドラマの中ではひたすらちぎり絵で作品を作る者、被害者遺族に手紙を書き続ける者、家の模型を作る者など、様々な生活ぶり。反省し続けている者もいれば、全く反省する様子がなく刑務官らをからかって過ごす者もいる。
いつ誰が死刑を執行されるかは分からないので、毎日その日を恐れている者や死の恐怖に耐えかねて自殺を図る者もいる。
彼らの日々の面倒を見ながら、死刑執行命令が出れば執行官となる刑務官たち。
リアルな現場でのことは分からないけれど、少なくともドラマの中では、刑務官と死刑囚は立場は違えど人と人。日々の交流の中でどうしたって情が生まれてしまう。
死刑になるだけのことをしたのだから自業自得なんだけど、刑務官たちが被害に合ったわけではないのだから、被害者家族と同じように恨むこともできないだろう。
何人もの人を殺しながら自分の命に執着する姿も、自分の死を目の前にして初めて罪の重さに気付く姿も、被害者ではない私から見たら可哀想な人々に映ってしまう。一番可哀想なのは何の罪もない被害者だってことは分かっているんだけど、、、。ドラマを見てるだけの私がそうなのだ。執行命令が出るまでの何年もの間、彼らと会話し交流し続けた刑務官たちがどんな想いで死刑執行するのかと思うと、、。私なら気が狂っちゃうんじゃないかなぁ、、。
実際に刑務官が執行官にもなるってことがあるのかどうか分からないけれど。
どっちにしても過酷な仕事だよねぇ。。。
毎回、様々な死刑囚の物語が描かれる一方で、及川は、少年時代の野球チームの先輩で憧れていた渡瀬（井浦新・当時の芸名はARATA）との交流を深めていく。
渡瀬はプロも目指せると目されていた野球少年だったが、中学3年の時、強盗の田尻に両親を斬殺され、自身も右肩を刺されて選手生命が絶たれてしまう。幼い妹は事件のショックで口がきけなくなり、二人は施設で育った。
死刑を免れた田尻を恨み、必ず復讐すると心に決めてその機会を待ち続け、10年後、その思いを遂げて死刑囚となるのだが、、、。
これがまた、悩ましい（汗！
田尻は渡瀬の両親を惨殺した極悪人で、心神喪失を盾に死刑を逃れ、出所後もどうやら会心した様子はない。ARATAさん演じる渡瀬の悲壮感溢れる「仇討ち」シーンには、うっかり美しさすら感じてしまう（汗！
渡瀬は死刑に値するほどの極悪人なのか？
仇討ちなんて許されていいのか？
う〜〜〜〜〜〜。
この役をARATAさんがやってるってのが、ドラマオタクにはたまらないものがあって。
後の「アンナチュラル」で、恋人を殺した犯人を探し続ける彼は、復讐殺人を肯定するような発言をするのさ。「殺す奴は殺される覚悟を持つべきだ」っと。
この台詞を聞いたときの私の心情は、、、
「ぎゅあぁぁぁぁ〜〜。（鳥肌）」って感じです・・・（苦笑
答えは見つからない。見つからないんだけど、、、。
とにかくさ〜〜。
人殺しなんてしちゃダメなのよ、絶対に！！！
犯罪者は罰せられるべきなんだけど。誰がどう罰すればいいのだろう？
嫌がる死刑囚を抑え込んで首に縄をかけるとか、3人でボタンを押すから誰が当たりだったか分からないとは言え死刑執行ボタンを押すのが人間だっていうのは、、、とても辛い（汗！！
AIならいいのかと言えば、犯罪者とは言え、一人の人間の命の最後をAIに託すのもどうなのかなぁっと思うし。
はぁ〜〜〜〜。
考えすぎると眠れなくなるけど、見応えのあるドラマです〜〜。
