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【映画】簡単に犯罪者に仕立てられる恐怖!『リチャード・ジュエル』

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ジャンクフードの食べ過ぎに注意!

公開したばかりの『リチャード・ジュエル』を観てきた。
監督:クリント・イーストウッド、89歳!すごいよね〜〜!!
幾つになっても映画への情熱は衰えず、現代社会への警鐘を「静かに」鳴らし続けているのだと思う。

公開中なので内容は控えめにするけれど、『リチャード・ジュエル』は1996年に起きたアトランタ爆破事件を題材にした物語。

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日頃から正義感が強かった主人公リチャードはイベント会場の警備中に爆弾を発見。いち早く避難を促し、大勢の命を救ったことで「英雄」としてマスコミに取り上げられ、一躍有名になる。ところが、FBIは第一発見者の彼を「容疑者」として捜査しはじめ、捜査官から無理やり情報を聞き出した女性記者は自らその情報を検証することなく、スクープだと勇んで報道してしまう。他のメディアも「リチャード犯人説」に追随。世論は一変し、FBI捜査官たちも彼を犯人だと決めつけて強引な捜査を続け・・・。

 ・・・・・

クリント・イーストウッド作品は実話を多く扱っていて(その全てを見たわけじゃないんだけど)どんな題材でも描き方に品があるところが大好きだ。

 

今作は一市民が国家的な組織であるFBIや報道の自由を盾にやりたい放題のメディアに翻弄されどん底に突き落とされながらも、僅かな理解者とともにもがきながら無実を勝ち取っていく物語なので、FBIやメディアを『悪』、リチャード陣営を『善』とクッキリ分けて描くこともできたと思うんだけれど、決してそうはならない。

事件までのリチャードの様子を見ている「視聴者の私」はリチャードは無実であることを分かって見ているはずなんだけれど、その場にいなかった弁護士が信じ切れずにいる様子を見ているうちに「あれ?もしやさっきの映像はリチャードの妄想?」っとチラリと疑ってしまう瞬間が訪れてしまう。

捜査官もメディアも、その場で事件を目撃したわけでもなく、それ以前のリチャードを知っているわけでもない。人一人の印象なんて10人に聞けば10通りあるわけで。大雑把に言えば「いい人」かもしれないけれど、出会うタイミングによっては「変わった人」と思う人もいるだろう。ましてやリチャードの風貌はかなりの巨漢。話し方や行動も決してスマートとは言えない。見た目の印象で「なんとなく犯人っぽい」っと勝手に妄想してしまったら最後、「犯人ではない証拠」を探すより「犯人である証拠」を何とかして見つけ出そう、見つからなければ作り出そうとしてしまう心理が全く分からなくもないのだ。

大部分は、あまりにひどいマスコミと捜査官にムカムカ、イライラして、簡単に犯罪者に仕立て上げられる恐ろしさに身震いするんだけど、、。

待て待て。

逆に無実の誰かを簡単に『悪』だと決めつけて貶めてしまう側になってしまう可能性もあるんだと空恐ろしくなる。

 

そういう、誰にでもある人間の心の揺らぎや不確かさを、クリント・イーストウッドはちゃんと描いているんだろうなぁ。

 

1996年。

映画の舞台は今ほどSNSの普及はしていなかった時代だろう。それでも、一度間違った方向に流れてしまった世論の波は簡単には覆すことができないのだ。SNSが普及した現代ではその波はより高く、より激しくなっている。

しかも、最低限の根拠もなく、最初から炎上やらアクセス数狙いでフェイクニュースを垂れ流す輩も増えてしまった。マスコミだけではなく個人の発信にも。

報道の自由言論の自由

自由であることは幸福なことのはずなのに、意図的にか無自覚かは分からないけれど、多くの人を傷つけ不幸にする「言葉」に溢れている昨今。

きっと誰もが、「自分事」として観られること間違いなし!