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【映画】バットマンもいいけどパッドマンは真のヒーローだ! - パッドマン -

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発明家の才能は゛あきらめない才能”だ!

 インド映画、と聞くとアクションモノだろうが悲恋モノだろうがなぜか歌って踊るシーンが特徴である。初めて観たインド映画は1998年公開の『ムトゥ、踊るマハラジャ』。タイトルにもあるから当然なのではあるけれど、登場人物の感情を表現するシーンはとにかく踊る、踊りまくる。まるでミュージカルのような構成が面白かった。映画を観ながら私も両手を合わせて首を左右に動かすと(インドで首を左右に動かすのは「YES」の意味だそう)、なんとなく画面の見過ぎによる首コリ肩コリにもよさそうだ。

 時は過ぎ、2018年末に日本で公開されて以来、ずっと気になっていた『パッドマン』。「生理用ナプキン製造機の発明でインドの5億人の女性を救った男」という斬新な触れ込みで、どんな物語なのか気になっていた。

  物語は実在の人物、アルナーチャラム・ムルガナンダム氏をモデルにした物語で、彼は2014年、『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたという。生理用ナプキンは女性の必需品でありながら、インドでは非常に高価なものであり普及率は20パーセントにも満たず、不衛生なボロ布や葉っぱなどを当てて凌いでいる人が大半だという。

 

 映画はこうした社会問題にも焦点を当てているが堅苦しさは皆無で、ただひたすら愛する妻を救いたいという一心から、安価で高品質な生理用ナプキンを開発しようと奮闘する男の物語である。

 

 主人公のラクシュミーは妻が愛しくて仕方ない優しい夫だ。インドでは女性の生理を穢れと考え、妻や彼の妹たちが生理になると家の中に入らず5日間家の外の囲いの中で過ごす。しかも不衛生なボロ布で処理し、洗ってもサリーの下に隠して干すので殺菌もされないという悪質なものだ。そんな妻を見て、彼は町の商店で市販のナプキンを買うが、妻は「そんな高価なものは使えない!」と突き返す。彼はインドではごく一般的な家庭のように見受けられるが、市販品は高価で消耗品としては非常に贅沢なものなのであろう。

 突き返されたナプキンを懐にしまいながら、どうにかならないものかと思案するラクシュミー。ある日、彼の仕事仲間が作業中に腕を斬る大けがを負う。慌てて、ナプキンを取り出し傷に充てて医者に連れて行くと「よくやった!そのへんの布を当てていたら感染で腕を切り落とすところだった」と医師から言われる。そこでラクシュミーは、女性の生理の処理も不衛生のために、病気になったり不妊になったり命を落とす人がいることを聞いて、自分で安価で品質の良い生理用ナプキンを作ろうと心に決めるのだ。

 そこからの彼の執着はものすごい。発明家はいつだって当時は奇異な目で見られるのである。それでもめげない。周囲から変人、変態という目で見られ、家族は出ていき、愛する妻も実家に帰ってしまう。これはインドという土地ならではの物事の考え方が大きいのだろうが、とにかく非難、糾弾されるばかりで、彼の熱意に共感してくれる人が出てきてくれないのだ。それでも生理用ナプキンへ開発をあきらめない。執着はますます募るのである。このあたりのいきさつが見ものだ。

 

 やがて完成した生理用ナプキンの製造機。特許を取って金儲けしたほうがいいという周囲の声に耳を傾けずに、彼はこの製造機を広く普及させ、女性に製造作業という仕事を与えて自立を促し、同時に女性が売れば広まりやすいということに気づいたのだ。彼は富豪になりたいわけじゃない。妻を助けたい、それだけだったのだから。

 

 金で金を生む…。そんな考えから人々の価値観が愛から金へシフトしてしまった今だからこそ、この映画を観ていろいろと考えたい。先進国を中心として社会課題はSDGs(持続可能な社会)が注目されるようになって経済成長よりもだれもが安心して暮らせる社会づくりのほうが大事だというようになった。国連主導だから理想論に近いのかもしれないがどこかで言いださなくては始まらない。アマゾンの森林大火災、アフリカの干ばつ、そして今回の日本の台風被害…ざっと見回すだけで「このままじゃ、地球、ヤバいぞ」という問題が山積している。持続可能が脅かされている社会の中に我々は居るのである。

 人間の経済活動だって頭打ちだ。やがて来る急速な人口減少に、いまの経済の歯車は対応していない。考えていくと頭が痛くなるので、映画を観るしかない。ドラマを観るしかない。エンタメが救いである私の気持ちを察して欲しい…。

 

 考え始めると暗くなってしまう今の世の中に『パッドマン』は『バットマン』のように登場したインドのヒーローだ。困っている人たちを救うモノを安価で製造する機械を発明し、製造において仕事がない人たちの雇用を促進し、自立をうながしたのだ。

 バットマンも社会の不正をただすヒーローだが、現実の社会問題に切り込んだパッドマンは実在するバットマン並みのヒーローである!

 

 やっぱりインド映画は優秀だ。脚本も演出も斬新!感動!

 

 全く話は変わるが、インド人の血液型構成は、A型が約2割、B型が約4割、O型が約3割、残りAB型1割、一方、日本はA型が約4割、B型が約2割、O型が約3割、残りAB型1割。A型とB型の構成が逆転している。血液型と性格は無関係だと言われているが、どうもそれでは説明のつかない人間関係に身を置いている我々(Type-Bシスターズ)の周りには、A型の友人が絶滅危惧種ばりに希少である。で、自分たちの性質を考慮すると、周囲の目など忘れて自分の世界に没頭するラクシュミーはおそらくB型だろう…。

 私たちって、インドでは暮らしやすいのかな?

 

★みじん子レーダー【映画】パッドマン

●ドラマティック度:★★★☆☆

●鑑賞後の心地良さ:★★★★☆

●ドラマの重量感:★★☆☆☆

★愛する妻を救いたい…からインドの女性を救うことになる男の情熱をひたすら描く感動の140分