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【映画】ラストに見せてくれた奇跡の展開に脱帽! - イエスタディ -

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エド・シーニャンがキーマンとなっていい味を出している

 人類は誕生から今に至るまで、長い時を経て少しずつ進化(退化?)を続けてきた。その過程の中で突然の大変化が起きて、人類をショック療法的に強く刺激し、変化を急速に加速させてきた、に違いない。例えば、二足歩行、火の使用、文字の使用、、、宗教の誕生、、、電気の発見、自動車、電話、映画、テレビ、ミッキーマウスビートルズの音楽…。そう、ビートルズの音楽である!

 ということで、ある日、世界規模の大停電が発生、真っ暗闇の道路で運悪く交通事故に遭い意識不明から目覚めると、、、世の中にはビートルズが存在していなかった!ビートルズの名曲を歌うとたちまち評判を集め、なんとエド・シーラン(本物が登場)に見いだされ大スターに!!...という鳴かず飛ばずのミュージシャン、ジャックをめぐる壮大な夢物語がが2019年10月11日に公開された映画『イエスタデイ』である。

  映画では、かつて大騒ぎした「2000年問題」のような世界規模の大停電が起きる。たった12秒だけれど、世界中で同時にパッ‼︎と停電が起きたのだ。

 その時、たまたま自転車で走っていたジャックは、突然、真っ暗闇に消えた交差点でバスと衝突、2本の前歯と引き換えに九死に一生を得る。意識不明から目覚めると、世の中にビートルズがなくなっていた。だれもビートルズを、ビートルズの曲を知らないのだ。

 奇想天外な物語。さすが世界のビートルズを生んだイギリス映画である。

 

 私は特別ビートルズファンではないけれど、確かにこの世にビートルズが誕生しなかったら世界の音楽シーンはどうなっているんだろう?と考えたら、きっと今とは全く違ってることは間違いないだろう。それくらい、今の私たちの音楽、とくにポップス界においてビートルズは電気王エジソンのように世界を大きく変えた。

 

 主人公ジャックが、交通事故の怪我が治り快気を祝う友人たちの前で何の気なしに歌った『YESTERDAY』に友人たちは絶句する。「なんて素敵な曲なんだ!」と。ジャックは「何言ってんだ!?ビートルズの曲だぞ!」といっても、全員「?」の顔。早速、自宅に帰ってネットで「THE BEATLES」を検索すると、出てくるの「Beetle(甲虫)」。あの伝説のロックバンド、ビートルズが何一つ出てこない。ジャックは、自分が知っているビートルズの名曲を歌えるのは自分だけだということを知ると、次々とビートルズのヒット曲を発表する。

 それまで近所のパブで歌っていた売れないミュージシャンが、あれよあれよと評判を呼んで、エド・シーランの前座で歌うことに!すると、やがて、エド・シーランを凌ぐ人気アーティストになっていく...のだが、物語はそう簡単にジャックを成功者にはしてくれない。

 

 映画が現在公開中なので、ネタバレになる話はここでおしまい。物語は、ジャックを思いがけない方向へと導いていく。

 世の中にはビートルズを知る人はいないがジャックがしていることは盗作だ。他人の作った歌で世界的ミュージシャンにのし上がり...成功を目前にしたジャックは我を失っていく。そんなジャックにある奇跡が起きるのだが、これはジャックだけではなく世界中のだれもが起きて欲しいと願ってやまない奇跡だ。奇想天外でありながら、心温まるファンタジーの世界も含んでいて、そして、その奇跡があまりにも素敵で涙が出た。

 あぁ、こうであってほしい。ここだけでもいいから本当であってほしい。。。

 

 (あること)(ないこと)を想像と発想の力でいかようにも展開できるのがエンターテイメントだ。この1回きりしか経験できない自分の人生以外の多様な人生を、エンタメで経験させてもらえる…。これがエンタメの持つ力だ。エンタメが広げてくれた視野を使って自分の人生を生きる。そうすれば、主観の幅だけでなく自らを取り巻く世界が大きく広がり...どんどん楽しく、どんどん面白くなる。結果、争いが減る。平和につながる…。だからこそ、我々は『エンタメ愛!』をここで語っているといっても過言ではない...言い過ぎか...笑。

 そのような中で、この映画『イエスタディ』は実に素晴らしいエンタテイメントの要素てんこもりである。キャストもそうだし、劇中で流れる曲がなんといってもビートルズなのである。懐かしさもあるけれど、やっぱり今の時代に流れていても人の心を動かす力を持っているメロディラインである。派手なVFXの技術を使わず、あくまでも人間ドラマのやり取りがコメディタッチで展開される上質な脚本だ。

 

 主人公の冴えないミュージシャンを演じたヒメーシュ・パテルがとてもいい味を出している。冴えない感じの冴えないっぷりと、どんどんスターダムに上りつめていきなががらあか抜けていく様子、そしてときどき見せる冴えない自分との間に起きる葛藤を上手に演じていた。いつまでも売れない彼の才能を信じて支えるマネージャー兼親友のエリーは「あれ?どこで観たっけ?」となじみのある顔だったのだが、『マンマ・ミーア・ヒア・ウィー・ゴー』で、主人公ソフィの母親ドナ(メリル・ストリープ)の若かりし頃の役で登場していたリリー・ジェームズだ。この前観た『ガーンジー島の読書会の秘密』の主人公ジュリエットを演じている。

 ちなみに、世界規模の大停電で消えたものは、ビートルズのほかに、タバコ、コカ・コーラペプシはある)、ハリーポッターなど...。その消滅の法則はわからないけれど、たぶん「今の私たちの文化的な営みに最も大きく影響したもの」のような気がする。そうならば、日本においては・・・、歌舞伎、ポケモンカップラーメン、、、、とかが無くなっているかな?笑

 

 「もしも・・・」シリーズで展開される映画はいろいろあるけれど、『イエスタディ』はこれまでとは少し切り口が違って、新鮮な気持ちで楽しめる。

 ぜひ、この映画を観て心躍る気持ちを味わってほしい。

 

★みじん子レーダー【映画】イエスタディ

●ドラマティック度:★★★★☆

●鑑賞後の心地良さ:★★★★★

●ドラマの重量感:★★★☆☆

★笑えて泣ける。優しくて面白い心地いいエンターテイメントをたっぷり味わえる117分