【ドラマ】切なすぎるよ〜(泣『白夜行』
たくさん映像化されている東野作品の中でも、ドラマ版『白夜行(2006年1月〜)』は忘れられない。何度見ても、切なくて切なくて、、、。今だに、保存版を再視聴して全話見終わると、確実に数日間は引きずってしまう。
これも私は原作を先に読んでいた。
そして正直、原作は私には難解すぎた。
小説での事件の始まりは1973年、大阪の廃墟ビル内で男の刺殺遺体が発見される。発見者は廃墟ビルで遊んでいた小学生。被害者は質屋の店主。容疑者は貧しい母子家庭の母親。被害者には亮司という息子、容疑者には雪穂という娘がいる。ともに小学5年生。容疑者となってすぐに、雪穂の母は自宅でガス中毒事故で死亡。
それから数年後。亮司、雪穂、それぞれの人生が章ごとに描かれていく。というような構成だ。
文庫版で読んだのだが、私が持っている文庫の中で一番分厚いであろう、超大作。これが、読んでも読んでも、第1章で起きた事件が解決しないのだ。第一、その事件を追っているという話ではなく、亮司が悪い道に進んでしまった様子とか、美しい女性に成長した雪穂の周りでキナ臭い事件が何度も起きる様子とかが、入れ替わり立ち代り描かれる。何々?いったい何が起きているの?誰が、何のために?二人の関係はどうなってるの?っと私の頭は疑問符だらけ。ようやく最初の事件で雪穂と亮司が背負った悲劇が分かるのは終盤も終盤。そして、事件の全貌が分かっても、全くスッキリできない。この長い長い物語を、きっと最後は全てが解決してスッキリできると信じながら必死で読み進めて、、、まじですか!?こんな終わり方ってありですか!?
私の読解力不足のせいなのかもしれないけれど、亮司と雪穂の感情を想像することがほとんどできず、モヤモヤ〜〜〜〜〜っとしたまま読み終えた。
あまりにもモヤモヤしたので、一時、私はこの文庫を手放した。本も繰り返し読むタチなのでできれば全てをコレクションしておきたいのだが、我が家は狭く、収納スペースには限りがある。本棚がいっぱいになるたびに、なんとか諦められる本を選別してブックオフに売るのだが、最初に買った『白夜行』はブックオフ行きとなった。
が、程なくしてドラマ化を知る。
えっ?あんなに暗〜い、希望のない、長〜い物語がドラマになるの?と思いつつ、綾瀬はるかと山田孝之!これは期待大じゃない!?
手放してしまった小説が無性に読みたくなり、装丁がドラマ仕様になった『白夜行』を再び購入した。ドラマ視聴後に読むと、また別の味わい。二度と手放さないぞ!
私にとってのドラマ版『白夜行』は、私が小説では読み取れなかった二人の心情を、これでもか!!!っというくらいの激しさで補完してくれた作品だ。二人が次々と起こす事件は醜悪だ。子供時代の悲惨な出来事が引き金になっているとは言え、なぜ、悪い方、悪い方に行ってしまうのだ!なぜ、なぜ!!!っと叫びたくなる。そして、彼らを最低の生き方しかできない人間に落とした大人たちへの怒りが抑えきれなくなる。心が痛くてたまらなくなる。号泣必至。度々「しゃくり上げる」という泣き方になってしまうドラマである。
ドラマ版で事件を追い続ける刑事役を武田鉄矢が演じているのだが、これがまた、ものすごい迫力なのだ。ドラマ版では早い段階から亮司や雪穂の中の「悪」に気づいている刑事なのだが、あの顔で睨まれ、凄まれ、嘘くさい笑顔で話しかけられたら、私なら速攻で観念する(汗!
ドラマ版も決してハッピーエンドにはならないのだけれど。最後の最後に、ほんの少し、ほんの少しの小さな小さな「救い」が描かれる。ドラマの中で、ちょっとだけプラスされた悲しい二人への優しさに、私はさらに涙するのであった。。。
【ドラマ】クドカンに脱帽!『流星の絆』
原作ものの実写映像化にはちょくちょく賛否両論あるようだが、私は単純にどちらも楽しむタチである。基本的にマンガは自分に禁じているので漫画原作の場合は映像作品しか見ていない、ということも多いのだが、大抵の場合、原作には原作の良さが、映像作品には映像作品の良さがあり、両方合わせて好きになることが殆どだ。私の場合は原作が先でも映像が先でも見る順番にこだわりはないのだけれど、原作を先に読んでからのほうが「どう味付けしたのか」がよく分かるので、より楽しいかな!
『ルパンの娘』についてはみじん子さんが書いてくれたので、私は別の作品を。
原作:東野圭吾の『流星の絆』。ドラマは2008年10月〜に放映された。
洋食店「アリアケ」の三兄妹が夜中にこっそり家を抜け出し、流星を見に行っている間に両親が惨殺される。事件当時、長男は小学6年。次男4年。妹は1年。身寄りをなくした3人は養護施設で育ち、物語の舞台は14年後に。時効が迫るなか、妹が資格詐欺商法に騙されたことをきっかけに、三兄妹は自分たちが詐欺を働くようになりながら助け合って生きている。ある時、詐欺のターゲットから偶然、両親惨殺の犯人と思われる人物が浮かび上がって、、、。という物語。
私は原作を先に読んでいた。東野圭吾のミステリーだ。緻密な計画を立てる長男、擬態の天才の次男、美貌が武器の妹が、それぞれの役割を果たしながら鮮やかにターゲットを騙していく。ターゲットに恋してしまう妹。実は妹との血の繋がりがない兄弟の葛藤。本当の犯人は誰なのか?などなど、見どころ満載だ。そして切ない。
数年前の『白夜行』が思い出された。
映像化ということは、きっと『白夜行』のように感動大作になるんだろうなぁ、っと思っていた。
原作を読んでいるので犯人を知っている状態でドラマを見始める。
オープニングの長男(ニノ)のモノローグ。
あー、やっぱりシリアスなドラマになるんだなぁっと、、、思いきや!?
なんだなんだ!?この演出は!?このアレンジは!!!?
お、面白い!超〜〜〜〜面白いじゃないか!!!
一部設定が変わっている部分はあるものの、基本的に原作に忠実に物語は進んでいる。なのに、印象が全然違う!
これはコメディか?コメディになったのか!?あの小説が!!?
コミカルなシーンのお陰か、三兄妹のキャラクターもとてもチャーミングである。
カモられる詐欺のターゲットたちの振り切れ方も抜群で、クセになる。
それでも、本筋から外れることなく、絶妙なタイミングでシリアスシーンに早変わり。原作にはない謎の女として中島美嘉が出演していて挿入歌『ORION』を歌っている。この歌が切なさに磨きをかけ、結局毎回のように泣かされていた。
思い出深いクドカン作品はまだまだあるんだけど。
クドカン!!!やっぱすごいよ〜〜!
【ドラマ】つぶやきは心の中で〜『拝啓、父上様』
ドラマは片っ端から見ているのだけれども、何度も見たいとかコレクションしたいとかになるとどうしても『ジャニーズ』、中でも『嵐』に偏ってしまう(汗!
そこはどうかご容赦くだされ!
前回に引き続き倉本作品の『拝啓、父上様(2007年1月〜)』は神楽坂の老舗料亭を舞台にした人情喜劇。
これより30年前には萩原健一主演の『前略、おふくろ様』という大ヒットドラマがあるので、『拝啓、父上様』は倉本聰本人によるオマージュ作品ということになるのかしら?『前略〜』のほうは微かに記憶があるんだけど、当時の我が家では「子供はテレビは夜8時まで」という方針だったため、見たとしたらおそらく夕方の再放送。ほとんど覚えていないので比較などはできないのだけれど、まあ、一応、予備知識ね。
ショーケンも好きだったから改めて見てみたいけど、そこまで遡っていると本当に人並みの生活をする時間がなくなるので、今は諦めよう。
さて、『拝啓、父上様』である。
神楽坂の老舗料亭・坂下で板前修行を始めて7年の一平・23歳(ニノ)。始めて後輩が入ってくる日からドラマは始まる。
一平は父を知らない。元芸者の母親(高島礼子)が隠し続けているからだ。どこの誰ともわからぬ父親に「拝啓、父上様、、」とナレーションで呼びかけながら、共に働く仲間や神楽坂に暮らす人々との日常が一平目線で描かれていく。
古き良き日本の伝統や景色が残る神楽坂も時代の波に飲まれて変化の時を迎えている。料亭・坂下も含む商店街の土地買収話が進んでおり、古い街並みが高層マンションに変わってしまうかも!?という状況の中、一平の日常はと言えば、熱心に板前修行をする一方で、せっかくできた後輩はやんちゃ坊主で拍子抜け、一目惚れした謎の美少女にはなかなか再会できず、大女将とその娘の女将、さらにその娘のお嬢さんに翻弄され、チャキチャキの母親にも振り回されるという散々な日々。脳内で「父上様」にでも愚痴ってなければやっていけないのだろうが、その素直な一生懸命さが愛おしい青年である。
・・・・
う〜〜ん、これで伝わるかなぁ(汗!
倉本作品は登場人物が多く、また、主要メンバーだけでなく枠役の人物像にも細かい設定が施されていて、それぞれに味があって面白い。ので、私の語彙力で上手にまとめるのが難しい。
この作品で特に推したい個人的なツボは、関ジャニ∞の横山くん演じる新入り・時夫と、どこまでも超絶に可愛らしい大女将の八千草薫。ごめんなさい、文章にできない!!!とにかく二人とも可愛らしいったらありゃしないので、ぜひ、見てほしい!!
そして、第3話だったかな?
大女将はある大物政治家のお妾さんで、その方の後ろ盾があっての料亭だったんだけど、政治家さんが亡くなるの。政治家さんとの間に子供も孫もいるわけだけど、葬儀にも出られない。っと、ある日、本妻が坂下にやってくる。「何をしにくるのか!?」とオロオロするなか、やってきた本妻は森光子!
森光子vs八千草薫のやりとりは、必見です!
【ドラマ】これも富良野だよ〜『優しい時間』
倉本聰作品そして富良野、と言えばまず『北の国から』が思い浮かぶと思うのだけれど、ジャニオタ、アラシックの私としては『優しい時間(2005年1月〜)』を外せない。
主演は寺尾聰。富良野の静かな森の中の喫茶店「森の時計」のオーナー兼マスター。数年前まで商社勤めのエリートだった彼だが、ニューヨーク支店長で単身赴任中にニノ演じる息子・拓郎が起こした自動車事故で妻・めぐみ(大竹しのぶ)を亡くしたのをきっかけに商社を辞め、妻の故郷である富良野で妻の夢だった喫茶店を開いている。
コーヒー豆を客自らミルで挽くというスタイルは亡き妻のアイデア。常連客やそこで働く人々との何気ないやりとり、大きな窓から見える富良野の自然、ゆっくり流れる時間。毎話、常連の誰かやゲストによって小さな事件は起きるのだけれど、大げさでなく、物語は静かに淡々と進んでいく。
一方、事故以来、父と絶縁状態にある息子・拓郎は、富良野から車で1時間ほどの美瑛にある皆空窯で陶芸職人として見習い修行をしている。そのことを父は知らない。
温厚な人柄で地元の人々にも慕われている様子の父と、真面目でひたむきに修行に励む息子。それぞれが「善き人」なのにも関わらず、過去の出来事から抜け出せずに歩み寄ることができない。二人を取り巻く人々と、その周りで起きる小さな出来事の積み重ねが、やがて親子の雪解けにつながっていく・・・。という物語。
まさに『優しい時間』だ。
「犯罪」と呼ばれるものは別として、人生の中で何も間違いを起こさない人間などいない。各々の間違いを「誰か」や「何か」が強引に正すのではなく、間違いに気付きながらも積極的に動き出せない自分とも向き合いながら、ちょっとずつちょっとずつ、今の自分にできることを積み重ねていくうちに、きっと「その時」が迎えられる。と思えるようなドラマじゃないかなぁっと思うのだ。
2005年当時だと、インターネットはあったよね?でもSNSとかは今ほどじゃなかったんじゃないかなぁ?あまりにも手軽に自分の意見を公表できる時代になってしまい、テレビ番組も見ているそばからつぶやきその他がネット上に溢れかえる昨今、それはそれで新しい楽しみ方だとは思うのだけれど、静かに物語に浸り、見終わってからもゆったりと味わう時間を大切にできるのも素敵なことだと思うのだ。
忙しない展開のドラマやバラエティー番組にちょっと疲れたな、っという時には、こんなドラマを見直してみてもいいのでは?
ちなみに、、、
過去のドラマ視聴の際、今は有名な人がチョイ役で出ているのを見つけるのも楽しいよ、っと以前の記事にも書いたけど。
どこかに星野源が出てくるよ〜!(この話はもう有名かな?)